我々は通常ふたつのものの間に“関係”があるとかないとかいう言い方をする.数学でも“大小関係”とか“合同関係” のような言い方をする.例えばふたつの実数が与えられたら,との間の“大小”が決まっている.あるいは 二つの三角形が与えられたら,“合同”であるかどうかも調べることができる.これと同じように集合の任意の二つ の要素の間の“関係”というものを考える. 今,その“関係”をで表すことにする.の任意の要素とに対し, との間にの関係があるかどうかはっきり決まっているものとし,との間にの関係があることを で表すことにする.をみたすとの順序対 の全体を考えると,それは の部分集合になる.逆にの部分集合に対し,関係を により定義 することができる.このような考え方のもとで,以降の部分集合を上の関係とよぶことにする.
関係(relation)は,次の条件R1,R2,R3,R4を満たすとき,それぞれ反射的, 対称的,推移的, 反対称的である (あるいは反射律,対称律,推移律,反対称律をみたす)という.
R2: であるがではないから対称的ではない.
R3: かつならばであるから推移的である.
R4: かつ ならば であるから反対称的である.
集合上の項関係()とはの部分集合のことであるとする.集合上の項関係 に対し, の間にの関係があることを あるいは で表すことにする.
TAKAHASHI Makoto : http://herb.h.kobe-u.ac.jp/