3.1 集合族とは

元がすべて集合であるような集合を(特に強調して)集合族と言う.例えば,$ A,B,C$を集合とするとき, $ \{A,B,C\}\strut$は集合族である.また, $ A_n (n\in \mathbb{N})\strut$がすべて集合$ A$の部分集合のとき,それらを 集めてできる集合 $ \{A_n\bigm \vert n\in \mathbb{N}\}\strut$も集合族である. この考えを拡張して,一般に集合$ \Lambda$の元$ \lambda$に対して,集合 $ A_{\lambda}\strut$が決められて いるとき, $ \{A_{\lambda}\bigm \vert\lambda \in \Lambda\}\strut$$ \Lambda$を添字の集合とする集合族とよぶ 19.各$ \lambda$を添字とよぶ. $ \{A_{\lambda}\bigm \vert\lambda \in \Lambda\}\strut$ $ (A_{\lambda})_{\lambda \in \Lambda}, A_{\lambda}(\lambda \in \Lambda)\strut$と表されることもある.$ A$の部分集合よりなる集合族を$ A$の部分集合族とよぶ.

3.1  

$ \mathbb{N}$ の各元$ n$に対して, $ A_n:=\{1,2,\cdots ,n\}\strut$とおくと, $ \mathbb{N}$ を添字の集合とする $ \mathbb{N}$の部分集合族 $ (A_n)_{n\in N}\strut$が得られる.

3.2  

$ f:A\longrightarrow B\strut$を全射とする.このとき各 $ y\in B\strut$に対して, $ A_y:=f^{-1}(\{y\})\strut$とおくと, $ B$を添字の集合とする$ A$の部分集合族 $ (A_y)_{y\in B}\strut$が得られる.

集合族を考えるときはその集合族に属する集合を区別するために添字をつけるのである.従って,自然数の添字がつけられる場合でも 別の添字の集合を用意したほうがわかりやすい場合もある.

3.3   $ \Sigma:=\{0,1\}\strut$に対し, $ \Sigma^*\strut$$ 0,1$からなる有限列(空列も含む)の全体とする. $ \sigma,\tau\in \Sigma^*\strut$ に対し, $ \sigma \hat{} \tau\strut$$ \sigma$の後ろに$ \tau$をつなげてできる有限列とする.このとき, $ \sigma\in \Sigma^*\strut$ に対し, $ \Sigma_{\sigma}:=\{ \sigma \hat{} \tau\bigm \vert\tau \in \Sigma^* \}\strut$とすると, $ \Sigma^*\strut$を添字の集合とする $ \Sigma^*\strut$の部分集合族 $ (\Sigma_{\sigma})_{\sigma\in \Sigma^*}\strut$が得られる.

TAKAHASHI Makoto : http://herb.h.kobe-u.ac.jp/