この例4.20をみてもわかるように,商集合の演算や関係を代表元を用いて定義するときにはそれが代表元の取り方に依存していないことを調べる必要がある.
この場合は, かつ とすると, も もで割り切れるから, となる整数が存在し, このとき, となり, であるので, 定理4.15より が示される.従って かつ ならば であるので,代表元の取り方を変えても問題はおきない.このように, “代表元の取り方によらずにきちんと定義できている”とき, その定義は“well-definedである”と言う.一方例4.20のような定義は代表元の取り方に依存してwell-definedな定義にはなっていないため,定義としては使用できない. 代表元を用いて演算や関係を定義するときは,その定義がwell-definedな定義であることの 確認を忘れてはならない.
TAKAHASHI Makoto : http://herb.h.kobe-u.ac.jp/