2つの集合について
の元がすべて
の元になるとき,すなわち
任意の
に対して
となるとき,
を
の部分集合(subset)とよび,
(あるいは
)で表す.また,
が
の部分集合でないことは
で表す.
のとき,
を
の包含集合(superset)10とよぶ.
かつ
であることを,
で表す.同様に
かつ
であることを,
で表す.
部分集合の記号としてを用いる人や文献もあるが,
を後で述べる
真部分集合のことであると定義する場合もあるので,
の記号を用いている場合はここでいう部分集合をさすのか
それとも真部分集合をさすのか注意する必要がある.
集合を平面上の閉じた曲線で囲む部分を用いて,集合をその囲まれた内部の点の集まりで表現するものを
オイラー図11(Euler Diagrams)とよぶ.
例えば,集合とその部分集合
の関係はオイラー図で表すと次のようになる.
オイラー図と同様に一般的な集合の間の関係を表す表現として使われるものにベン図がある.扱う集合が2あるいは3個のときのベン図は以下のような集合を円で表した図になる.
ベン図では,分割された領域に元がないことをその領域に×印を書いて表す.従って
をベン図を用いて表すと次のような図になる.
かつ
ならば
かつ
とする.任意の
に対して
となることを
示せばよい.
とする.
より
である.また
であるから
となる.
を証明するには,定義より
を証明すれば良いのであるが,これを証明するには
1,2,3のどの方針で証明するかは,
状況に応じて判断するしかないが,よくわからなければとりあえず3の方針で
考えるのが順当である.3は1,2に較べて仮定が多いので証明がしやすいという利点もある.
証明の方針が決まれば,そこから先は対象にしている理論の知識を用いて証明することが
必要になる.が条件により表されているときは,命題1.29,1.30,1.31にあるような対応する命題を示せば良い.例えば
のときは,以下のいずれかの証明をすればよい.
また,
の場合は
命題1.29,1.30は考えている式や条件の変数が増えても同じように考えることができる.
の証明について詳しく述べたので,
ついでに
の証明についても
ふれておく.
実数の順序では,
ならば
であるが,集合の包含関係
ではこれは成り立たないことに注意しよう.
でも,
とは限らない.
かつ
ならば,
が成り立つから
外延性の公理より,
である.
また
が成り立つとき,
は
の真部分集合であるといい,
で表す.
を証明するには,
と
を証明すれば良いが,特に
と
に対して
を示すには命題1.29より
と
が
についての同値な条件であることを示せば良い.
一般的に
の証明の方針は次の(i),(ii)のどちらかである.
(i)
より同値変形を繰り返して
を導く.
(ii)
と
に分けて,それぞれ証明する.
(ii)の場合は
と
をそれぞれ証明していることになる.
逆に,
とする.2次行列
は
ならば,
であるから
を証明するには定義より
または
を示せば良い.
を証明するには,
を示せば良い.
TAKAHASHI Makoto : http://herb.h.kobe-u.ac.jp/